筋骨格系疾患
腰椎椎間板ヘルニア(Lumbar Disc Herniation)
2025/8/1
1. 特徴
腰椎椎間板ヘルニアとは、腰の骨(腰椎)の間にあるクッション(椎間板)が飛び出し、神経を圧迫することで痛みやしびれを引き起こす疾患です。
20〜50代の男女に多く、突然の腰痛(ぎっくり腰)から始まり、下肢に広がる神経痛(坐骨神経痛)を伴うことが特徴です。
一時的に歩けなくなるほどの激痛となることもあり、仕事・育児・生活動作に支障をきたしやすい疾患です。
2. 原因
加齢による椎間板の変性・断裂
中腰姿勢・重い荷物の持ち上げ
長時間座りっぱなし(デスクワーク・運転)
筋力低下・体幹不安定性・ストレス
急激な運動・くしゃみ・ひねり動作
3. 症状
腰の強い痛み・動作時の痛み(前かがみで悪化)
片側の臀部〜太もも〜ふくらはぎにかけての痛み・しびれ
足の力が入りにくい・つまずきやすい
くしゃみや排便時に痛みが強くなる
長時間座れない、立ち続けられない
重症例では排尿障害(馬尾症候群)も
4. 分類
突出型:飛び出してもまだ椎間板内にとどまっている
脱出型:髄核が完全に外に出て神経を圧迫
遊離型:飛び出した部分が分離して神経を刺激
上位腰椎型(L1/2〜L3/4):前腿にしびれ
下位腰椎型(L4/5〜L5/S1):坐骨神経痛が典型的
5. 診断方法
問診・触診・下肢伸展挙上テスト(SLR)
腱反射・知覚・筋力テスト(L4〜S1の神経分布)
MRI:最も有効(飛び出しの位置と大きさを評価)
X線:骨の変形や椎間の狭小化確認
CT・脊髄造影(まれに使用)
6. 治療方法(西洋医学)
保存療法(軽~中等度)
安静、コルセット着用(急性期)
薬物療法:消炎鎮痛薬、筋弛緩薬、神経障害性疼痛薬(プレガバリン等)
理学療法:温熱療法、ストレッチ、筋トレ、牽引など
ブロック療法:硬膜外ブロック、神経根ブロック
手術療法(重症・保存療法無効)
内視鏡下ヘルニア摘出術(MED、PELD)
LOVE法(従来の切開術)
最近では日帰り手術も一部可能に
7. 予後と注意点(西洋医学)
多くは保存療法で自然回復(数週間〜数か月)する
ただし、誤った動き・再発・不安によって慢性化しやすい
腰痛そのものよりも、「神経の過敏化」や「回避行動による機能低下」に注意が必要
8. 東洋医学での解釈
腰椎ヘルニアは東洋医学では以下のように捉えられます
腰痛(ようつう)・痺証(ひしょう)・瘀血(おけつ)の組み合わせ
腎虚型:腰の根本的な弱さ、慢性腰痛体質
寒湿型:冷え・湿気で巡りが悪くなり痛む
瘀血型:血流の滞りで神経痛様の症状が長引く
肝鬱気滞型:ストレス・緊張による筋緊張性腰痛の悪化
東洋医学では「気血の通路(経絡)が塞がれている状態」と見て、通じさせる(通則不痛)ことで痛みを改善していきます。
9. 鍼灸でのアプローチ
当院では以下のような施術を行います
● 急性期(動けない/痛みが強い)
患部周囲の過緊張緩和(腎兪・志室・委中・承山など)
経絡調整による全体のバランス再構築
刺さない鍼・接触鍼・温灸・吸玉なども併用
● 回復期〜慢性期
坐骨神経痛に対する経絡治療(足太陽膀胱経・足少陽胆経など)
瘀血改善(膈兪・血海・太衝)+腎精補充(太渓・腎兪)
自律神経調整(百会・神門・内関)
● 再発予防・セルフケア指導
骨盤・股関節・足関節の連動運動
呼吸・腸腰筋・体幹の安定性訓練
日常姿勢・座り方・立ち方の指導
10. 参考資料
日本整形外科学会「腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン2021」
https://minds.jcqhc.or.jp/common/wp-content/plugins/pdfjs-viewer-shortcode/pdfjs/web/viewer.php?file=https://minds.jcqhc.or.jp/common/summary/pdf/c00645.pdf&dButton=false&pButton=false&oButton=false&sButton=true#zoom=auto&pagemode=none&_wpnonce=3b871a512b
まとめ
腰椎椎間板ヘルニアは、「構造の問題」と「神経の反応性」の二重構造を持った疾患です。
だからこそ、西洋医学で構造を把握しつつ、
東洋医学で気・血・経絡の流れを整えることで、
「痛みを取る」だけでなく「動ける体を取り戻す」という根本的な回復が可能です。
一人ひとりに合った施術・セルフケアで、再発しない身体づくりを一緒に行いましょう。
当院では患者の利益を最優先に考えていますので、東洋医学に理解のある医師、病院からの連携、相談を歓迎しております。
※当院では、医学的な診断・治療・医療的アドバイスは一切行っておりません。鍼灸施術は医療行為ではなく、効果には個人差があります。
※持病をお持ちの方、治療中の方には、医療機関の受診・継続的な通院を強く推奨しています。
※当院の施術は、病気そのものへの治療ではなく、症状の緩和や体質改善、生活の質の向上を目的としています。
※症状や医療機関での治療状況によっては、医師の診断・同意書・連携が必要となる場合があります。

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