耳鼻咽喉疾患

花粉症(Seasonal Allergic Rhinitis)

2025/8/2

1. 特徴

花粉症とは、スギ・ヒノキ・ブタクサなどの植物の花粉に対して免疫が過剰に反応し、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみなどを引き起こすアレルギー性疾患です。
毎年のように症状が現れる「季節性アレルギー性鼻炎」として、日本では特にスギ花粉が代表的です。

単なる鼻炎にとどまらず、集中力低下・眠気・肌荒れ・倦怠感・気分不良など全身に影響を与える疾患でもあります。


2. 原因

  • 環境要因:花粉の飛散量増加、大気汚染(PM2.5、黄砂など)

  • 生活習慣:夜更かし・冷え・ストレス・腸内環境の乱れ

  • 免疫バランスの偏り(Th2優位)

  • 遺伝的体質:親がアレルギー体質の場合のリスク増

  • 粘膜バリアの低下:鼻・喉・腸の粘膜が弱っていると感作されやすい


3. 症状

  • くしゃみの連発、鼻水(水のような)、鼻づまり

  • 目のかゆみ、涙目、結膜の充血

  • のどのかゆみ、咳、耳のかゆみ

  • 顔のほてり、皮膚のかゆみ(アレルギー併発)

  • 頭がぼーっとする、日中の眠気・倦怠感

  • 睡眠障害や集中力の低下、仕事や勉強のパフォーマンス低下


4. 分類(代表的な花粉と時期)

スギ:2月~4月

ヒノキ:3月~5月

イネ科:5月~7月

ブタクサ・ヨモギ:8月〜10月

※複数に反応する人も多く、“一年中何かしらに反応している”という人も珍しくありません。


5. 診断方法

  • 問診・症状の時期と内容の確認

  • 血液検査(特異的IgE抗体)

  • 皮膚テスト(プリックテスト)

  • 鼻鏡検査・内視鏡検査(粘膜の腫れ・分泌物)

  • 総IgE値・好酸球数:重症度や全体的なアレルギー傾向の評価に


6. 治療方法(西洋医学)

薬物療法(対症療法)

  • 抗ヒスタミン薬(眠気の少ない第2世代が主流)

  • ステロイド点鼻薬:鼻づまりに特に有効

  • ロイコトリエン受容体拮抗薬:気管支・鼻粘膜の反応抑制

  • 点眼薬・内服薬の併用(症状に応じて)

  • 漢方薬(小青竜湯、葛根湯加川芎辛夷など):粘膜の反応を調整

根本的治療

  • 舌下免疫療法(スギ・ダニ):3年以上の継続が必要

  • 環境整備(花粉除去・空気清浄・洗濯・外出対策)


7. 予後と注意点(西洋医学)

  • 多くは季節の終わりと共に自然軽快するが、毎年繰り返す

  • 症状が強いと、睡眠・集中・仕事効率の低下、うつ症状にもつながる

  • 根治は難しいとされているが、免疫療法や生活改善で体質は変えられる


8. 東洋医学での解釈

花粉症は、東洋医学では以下のように捉えます

  • 肺気虚型:呼吸器の防衛力が弱く、外邪(風・寒・熱)に負けやすい

  • 脾気虚型:消化吸収力の低下から、全身の免疫バランスが崩れる

  • 腎虚型:根本的な体力・体質の弱さがアレルギー傾向を強める

  • 肝火上炎型:ストレスや怒りで熱が上に昇り、目や鼻に影響

  • 風熱・風寒型:外的な気候要因(季節の風)との不調和

東洋医学では、「邪(じゃ)を防ぐ“正気(せいき)”が弱っていると花粉に負ける」と考え、身体のバリア力(衛気)を高め、根本体質を改善することが重要です。


9. 鍼灸でのアプローチ

当院では以下のような施術を行っています

● 急性期の症状緩和

  • 迎香・印堂・上星・合谷・風池・風門など:鼻・目の症状に即効性

  • 百会・神門・太谿・三陰交など:全身のバランス・自律神経の調整

● 体質改善(非シーズン期〜予防)

  • 肺・脾・腎の虚を補い、“反応しない体”をつくる

  • 温灸・吸玉・腸内環境を整える指導を併用

  • 季節前の「養生鍼」で予防的に免疫を整える


10. 参考資料


まとめ

花粉症は、単なる「季節の不快症状」ではなく、体内の免疫・消化・呼吸・ストレスすべての“バランスのゆらぎ”が現れた状態です。

西洋医学の対症療法に加え、
東洋医学で根本体質を整えることにより、
「反応しにくい体」を育てることが可能です。

毎年の春が怖くなくなる日を目指して。
今年の花粉症こそ、“体からの卒業”のきっかけに。

当院では患者の利益を最優先に考えていますので、東洋医学に理解のある医師、病院からの連携、相談を歓迎しております。

※当院では、医学的な診断・治療・医療的アドバイスは一切行っておりません。鍼灸施術は医療行為ではなく、効果には個人差があります。
※持病をお持ちの方、治療中の方には、医療機関の受診・継続的な通院を強く推奨しています。
※当院の施術は、病気そのものへの治療ではなく、症状の緩和や体質改善、生活の質の向上を目的としています。
※症状や医療機関での治療状況によっては、医師の診断・同意書・連携が必要となる場合があります。


▼ 岡田家鍼灸院 -大分 湯布院の古民家美術館を改装した空間-
痛み・不調・手術前のコンディショニング・手術後のケア・トータルケア・養生リトリート
https://okadayaclinic.jp

▼ What fits me Academy -統合医学の知恵で体作り-
楽に簡単に結果が出る、知識の力。賢い未来の投資
https://allokada.com

▼ 岡田式低負荷運動 -誰でも出来る、体に優しい運動法-
https://acunet.jp

▼ ヘルスコンサル -自分を知り、健康を管理する-
https://okada-consultant.com

▼ その他のお問い合わせ・仕事依頼・取材等  
support@allokada.com

Youtube 「The Healing 岡田 裕嗣」
https://www.youtube.com/@yujinz

記事をシェア

症状・疾患の説明Explanation

その他・不定愁訴

頭痛(headache)

頭痛という症状を、軽く見てはいけない「よくあることだから」「薬を飲めば治るから」頭痛は、そうやって最も雑に扱われやすい症状の一つです。しかし、頭痛は体からのかなり分かりやすい警告サインでもあります。ここでは病名に分けすぎず、「頭痛全般」として、なぜ起こるのか・なぜ慢性化するのかを整理します。頭痛は「頭の問題」ではないまず前提として、重要な事実があります。頭痛の原因は、頭そのものにないことが圧倒的に多いです。多くの場合、問題は首肩背中顎自律神経血流ホルモン内臓疲労こうした全身の状態の結果として、頭...

2026/1/18

その他・不定愁訴

自律神経失調症(Autonomic dysregulation)

1、概要自律神経失調は病名ではない。本質は、交感神経と副交感神経の切り替え機能が壊れ、体が「休めなくなった状態」である。検査では異常が出にくく、不定愁訴として片付けられやすい。2、原因原因は精神論ではない。・慢性的ストレス・睡眠リズムの乱れ・過剰なスマホ・光刺激・血糖変動・腸内環境の乱れ・ホルモンのアンバランス3、メカニズム交感神経が常時オンの状態となり、副交感神経への切り替えができなくなる。その結果、・心拍数増加・消化低下・血管収縮・筋緊張が慢性的に続く。4、現代医学の治療法主に以下が行われる...

2026/1/11

精神疾患

不安障害(Anxiety disorder)

1、概要不安障害は「性格の問題」ではない。本質は、脳の警戒システムが誤作動を起こし続ける状態である。危険がないのに、常に緊張が抜けず、心と体が休めなくなる。2、原因原因は出来事だけではない。・慢性的ストレス・睡眠の質の低下・血糖変動・腸内環境の乱れ・慢性炎症・トラウマ体験3、メカニズム扁桃体が過敏化し、視床下部‐下垂体‐副腎系が過剰に反応する。その結果、交感神経が常時優位となり、安心の回路が働かなくなる。4、現代医学の治療法主に以下が用いられる。・抗不安薬・抗うつ薬・認知行動療法・環境調整5、現...

2026/1/11

精神疾患

うつ病(MDD Major Depressive Disorder / Depression)

1、概要うつは心の弱さではない。本質は、脳のエネルギー代謝と神経ネットワークが機能不全に陥った状態である。感情の問題に見えるが、実態は全身性の代謝障害であり、睡眠・食事・腸・炎症・ホルモンが同時に壊れて起こる。2、原因原因は精神的出来事だけではない。・慢性的ストレス・睡眠リズムの破綻・血糖変動・腸内環境の乱れ・慢性炎症・ホルモン低下・社会的孤立3、メカニズムストレスや睡眠障害が続くと、視床下部‐下垂体‐副腎系が過剰に作動し、コルチゾールが慢性的に高まる。同時に炎症性サイトカインが増え、セロトニン...

2026/1/11

筋骨格系疾患

サルコペニア(Sarcopenia)

1、概要サルコペニアは「年を取ったから筋肉が減る」現象ではない。本質は、筋肉を維持・再生する刺激と栄養が体から消えた結果として起こる機能喪失である。筋肉が減ると、転倒・骨折・寝たきりが連鎖し、健康寿命は一気に短くなります。2、原因原因は老化ではなく生活構造。・運動不足・座り過ぎの生活・タンパク質の吸収低下・睡眠の質の低下・慢性炎症・ホルモン低下・腸内環境の悪化3、メカニズム筋肉は使われることで維持される。刺激が入らないと筋タンパク合成が低下し、インスリン抵抗性と炎症が進み、筋分解が合成を上回る。...

2026/1/11

筋骨格系疾患

骨粗鬆症(Osteoporosis)

1、概要骨粗鬆症はカルシウム不足の病気ではない。本質は、骨を作る力と壊す力のバランスが崩れ、骨の再生システムが破綻した状態です。骨折は転んだから起きるのではない。折れる骨に変わっていた結果です。2、原因原因は栄養不足ではなく生活構造の崩れ。・運動不足・日光不足・女性ホルモン低下・慢性炎症・睡眠の質の低下・消化吸収能力の低下・過剰なリン摂取3、メカニズム骨は常に壊され、作り直されている。しかし、運動刺激が減り、ホルモンが低下し、炎症が続くと、骨形成が追いつかず、破骨が優位になる。その結果、骨は密度...

2026/1/11

代謝疾患

メタボリックシンドローム(Metabolic syndrome)

1、概要メタボリックシンドロームは単に「太った状態」ではない。本質は、内臓脂肪が炎症工場に変わった代謝崩壊状態である。腹囲が増え、血圧・血糖・脂質が同時に崩れ始めた時点で、体はすでに全身レベルで破綻している。2、原因原因は食べ過ぎではなく、生活構造の歪み。・糖質過多・運動不足・睡眠の質の低下・慢性ストレス・腸内環境の悪化・ホルモン分泌の低下3、メカニズム内臓脂肪は単なる脂肪ではない。炎症性サイトカインを分泌する内分泌臓器に変化する。その結果、・インスリン抵抗性・慢性炎症・血管内皮障害が同時進行し...

2026/1/11

循環器疾患

動脈硬化(Atherosclerosis)

1、概要動脈硬化は「血管が詰まる病気」ではない。本質は、血管の内側が慢性的に炎症を起こし、修復できなくなった状態である。初期は無症状だが、進行すると心筋梗塞、脳梗塞、末梢動脈疾患として突然表に出る。2、原因動脈硬化の原因は脂ではなく、血管の使われ方。・高血糖・高血圧・脂質異常症・慢性ストレス・喫煙・睡眠不足・腸内環境の乱れ・環境毒素血管は、日常の生活習慣の総決算として壊れていく。3、メカニズム高血糖や高血圧により血管内皮が傷つく。そこにLDLが入り込み、酸化し、免疫反応が起こる。この慢性炎症が続...

2026/1/11

腎臓・泌尿器疾患

慢性腎臓病(CKD)

1、概要慢性腎臓病は、腎臓が少しずつ壊れていく病気ではない。正確には、高血圧・糖代謝異常・炎症という全身構造の破綻が、最後に腎臓へ集約された状態である。初期はほぼ無症状。しかし進行すれば、貧血、浮腫、電解質異常、最終的には透析が必要になる。2、原因慢性腎臓病の主因は腎臓ではない。・高血圧・2型糖尿病・脂質異常症・高尿酸血症・慢性炎症・薬剤の長期使用腎臓は、壊れた生活構造の“最終処理場”として破綻する。3、メカニズム血圧や血糖が高い状態が続くと、腎糸球体の微細血管が傷つき、ろ過機能が低下する。同時...

2026/1/11

腎臓・泌尿器疾患

高尿酸血症 / 痛風(Hyperuricemia)

1、概要高尿酸血症は「プリン体の摂りすぎの病気」ではありません。本質は、尿酸を作りすぎ、かつ捨てられなくなった代謝破綻である。多くは無症状だが、ある日突然、激痛を伴う痛風発作として表に出る。さらに放置すれば、腎障害・尿路結石・心血管疾患のリスクが高まる。2、原因原因の中心は食事内容ではなく生活構造。・果糖の摂取過剰(清涼飲料、甘味、エナジードリンク)・アルコール・慢性的運動不足・脱水・睡眠不足・インスリン抵抗性特に果糖は、尿酸を一気に増やす最凶因子である。3、メカニズム果糖が肝臓で代謝される際、...

2026/1/11

病名を入力して検索が出来ます。
西洋医学としての基本情報、東洋医学での解釈、視点の2つで記事を書いています。
病名が分からない方は下記の疾患系統からお探し下さい。

Access

岡田家鍼灸院 由布院本院
Okada Family Acupuncture & Moxibustion
Clinic Yufuin

2016年に東京で開業した院を移転、
2023年12月、自然に囲まれた大分県、由布院。
由布岳のふもとに新たな拠点を開院しました。
Originally opened in Tokyo in 2016,
the clinic was relocated to Yufuin, Oita in December 2023.
Now based at the foot of Mount Yufu, it offers care in a serene, natural setting.

住所
Address

大分県由布市湯布院町川上1266-8
1266-8 Kawakami, Yufuin-cho, Yufu City,
Oita Prefecture Japan

Tel

+81 090-7525-8781

営業時間
Business Hours

午後1時ー6時 完全予約制
13:00-18:00 (on) a subscription-only system

営業日
Open day

月曜日〜日曜日(休業日なし)
Mon 〜 Sunday

contact_mail

LINE