筋骨格系疾患
偏頭痛(migraine)
2025/7/30
1. 特徴
偏頭痛(migraine)は、ズキズキと脈打つような頭の痛みが特徴の慢性疾患です。数時間から数日間続くことがあり、日常生活に支障をきたすレベルの痛みを伴います。多くは片側性(頭の片側)に現れますが、両側に出るケースもあります。
2. 原因
西洋医学では、偏頭痛の原因は完全には解明されていませんが、以下が関与していると考えられています。
脳血管の拡張と収縮の異常
三叉神経の活性化と炎症
セロトニンなど神経伝達物質の乱れ
ホルモンバランスの変化(特に女性)
ストレス、寝不足、月経、気圧変化、食事(ワイン・チーズなど)
ただし、「なぜ、血管が異常反応を起こすのか」については根本的な理解が乏しく、「原因不明」とされやすいのが実情です。
3. 症状
典型的な偏頭痛の症状は以下のとおり
ズキズキと拍動性の頭痛(片側または両側)
吐き気・嘔吐
光や音に過敏(光過敏・音過敏)
動くと悪化する
前兆(閃輝暗点、視野のギザギザ、しびれなど)
前兆があるタイプを「前兆あり偏頭痛」、ないものを「前兆なし偏頭痛」と分類します。
4. 分類
国際頭痛分類(ICHD-3)に基づく分類
前兆なし片頭痛(Migraine without aura)
前兆あり片頭痛(Migraine with aura)
慢性片頭痛(Chronic migraine):月15日以上の頻度
月経関連片頭痛:ホルモン変動に伴う
5. 診断方法
主に問診と病歴が中心。CTやMRIでは明確な異常が見つからないことが多く、以下の条件で診断されます。
繰り返す頭痛(4〜72時間)
拍動性、片側性、中等度以上の痛み
日常生活の制限(動作で悪化)
吐き気や光・音過敏の伴随症状
除外すべき疾患(脳腫瘍・くも膜下出血など)がある場合は画像検査を行います。
6. 治療方法(西洋医学)
急性期治療(発作時)
トリプタン製剤(スマトリプタンなど)
NSAIDs(ロキソプロフェンなど)
吐き気が強い場合は制吐剤を併用
予防療法(発作を減らす)
β遮断薬(プロプラノロール)
抗うつ薬(アミトリプチン)
抗てんかん薬(バルプロ酸)
CGRP阻害薬(エムガルティ、アジョビなど)
※保険適応あり・注射製剤
7. 予後と注意点(西洋医学)
薬でコントロール可能な人も多いが、薬物乱用頭痛(MOH)に注意。
ストレスや生活習慣で再発・悪化する傾向がある。
女性の場合、妊娠・更年期・避妊薬との関係性も重要。
8. 東洋医学での解釈
偏頭痛は、東洋医学では以下のように分類されます
肝陽上亢型:ストレス・怒りで「肝の気」が上昇し頭痛
瘀血型:血の巡りが滞り、局所に痛みが出る
痰湿型:湿気や粘りが頭に影響して重く鈍痛
気血両虚型:慢性疲労・虚弱でエネルギー不足
腎虚型:長年の体力消耗や加齢により慢性化
偏頭痛は「上実下虚」「肝の失調」「瘀血停滞」として捉えることが多く、体質ごとの弁証論治が必要です。
9. 鍼灸でのアプローチ
当院の鍼灸アプローチでは、以下を統合的に考慮します
● 対症処置
頭部や首・肩周囲の緊張緩和
三叉神経領域へのアプローチ(足陽明胃経・足少陽胆経)
● 根本処置(体質改善)
肝気の巡りを整える(肝経・任脈)
血流改善(瘀血対応:膈兪・血海など)
自律神経の調整(百会・内関・太衝など)
● その他の技法
温灸・吸玉・耳ツボなども併用可能
食事・睡眠・冷え対策も総合的に指導
当院では「痛みを抑える」だけでなく、「なぜ偏頭痛が起きるのか?」を掘り下げながら、その人に合った施術計画を立てます。
10. 参考資料
日本神経学会『頭痛の診療ガイドライン 2021』https://www.jhsnet.net/pdf/guideline_2021.pdf
国際頭痛分類第3版(ICHD-3)
最後に
偏頭痛は、単なる「頭の痛み」ではなく、生活の質を大きく左右する慢性疾患です。
西洋医学では薬物療法が中心となりますが、「なぜ起きるのか」「どうすれば繰り返さないか」という根本的な視点は見落とされがちです。
東洋医学では、体質や生活の乱れ、感情の滞りまで含めて全体を見立て、「痛みの背景」にアプローチします。
鍼灸は、即時的な痛みの軽減だけでなく、自律神経・ホルモン・血流のバランスを整えるための手段として有効です。
もしあなたが、「原因が分からない」「薬に頼りたくない」「繰り返す偏頭痛に限界を感じている」のであれば、
どうか一度、東洋医学と統合医療の視点から、ご自身の体を見つめ直してみてください。
あなたの体は、ちゃんと「回復する力」を持っています。
それを引き出すお手伝いが、私の仕事です。
※当院では、医学的な診断・治療・医療的アドバイスは一切行っておりません。鍼灸施術は医療行為ではなく、効果には個人差があります。
※持病をお持ちの方、治療中の方には、医療機関の受診・継続的な通院を強く推奨しています。
※当院の施術は、病気そのものへの治療ではなく、症状の緩和や体質改善、生活の質の向上を目的としています。
※症状や医療機関での治療状況によっては、医師の診断・同意書・連携が必要となる場合があります。

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