呼吸器疾患
小児喘息(Pediatric Asthma)
2025/7/31
1. 特徴
小児喘息は、子どもに発症する慢性の気道炎症疾患で、日本ではおよそ10人に1人の子どもが発症すると言われています。発作時にはゼーゼー・ヒューヒューという喘鳴(ぜんめい)や咳、息苦しさが見られ、夜間や運動後、風邪の後に悪化する傾向があります。
大人の喘息とは異なり、成長とともに自然に軽快する例も多い一方で、生活の質を下げ、長期的な体力低下や発育不良の原因にもなります。
2. 原因
小児喘息の原因は複合的です。
遺伝的素因(アトピー体質)
アレルゲン(ダニ、ハウスダスト、ペットの毛、花粉など)
ウイルス感染(風邪後の喘息様反応)
気温・湿度・天候の急変
受動喫煙や大気汚染
ストレス、精神的緊張
とくに現代では、環境的な刺激と未熟な免疫機能のバランスの崩れが引き金となることが多いです。
3. 症状
ゼーゼー・ヒューヒューという呼吸音(喘鳴)
咳(特に夜間や明け方)
呼吸困難・胸の詰まり感
運動後の咳き込み
長引く風邪、繰り返す咳
症状は発作的に起こることもあれば、慢性的な軽い咳が続くタイプもあり、「かぜをひくたびに咳が悪化する」という訴えは典型的です。
4. 分類
軽症間欠型:年に数回程度、日常生活に支障なし
軽症持続型:月1回以上発作があるが軽度
中等症持続型:週に1回以上の発作、睡眠障害を伴う
重症持続型:ほぼ毎日発作が起こる、登校困難
5. 診断方法
問診・聴診(喘鳴の有無)
スパイロメトリー(呼吸機能検査:年齢が高ければ)
呼気NO測定(気道炎症の有無)
アレルゲン検査(血液または皮膚)
家族歴・アレルギー体質の確認
6. 治療方法(西洋医学)
急性期対応(発作時)
β2刺激薬吸入(サルブタモールなど)
酸素投与(必要時)
抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬
入院管理(重症例)
長期管理(発作予防)
吸入ステロイド(ICS)
ロイコトリエン受容体拮抗薬(モンテルカストなど)
アレルゲン除去(寝具の管理、掃除、空気清浄機)
生活指導(食事・睡眠・運動管理)
ただし、ステロイド依存や副作用、過剰な薬物投与への懸念から、薬に加えて体質改善を求める親も増えています。
7. 予後と注意点(西洋医学)
成長とともに7〜8割の子は症状が軽快するとされますが、再発やアトピー性疾患への移行(アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎)も少なくありません。
薬だけでなく、日常生活の見直しやストレス対策も重要。
喘息予備軍の段階での早期対応が鍵となります。
8. 東洋医学での解釈
小児喘息は、東洋医学では以下のように分類されます
肺気虚型:肺の働きが弱く、風邪をひきやすい体質。呼吸が浅く、声が弱い。
腎陽虚型:冷え・発育不良を伴い、体力がない。
痰湿内盛型:体に余分な「痰」や「湿」がたまり、気の巡りを阻害
肝気鬱結型(親のストレスを受けやすい)
ポイントは、「気の流れ」「呼吸の深さ」「親子関係」まで含めて診ること。
9. 鍼灸でのアプローチ
当院では、以下のような方針で小児喘息に対応しています
● 小児はり・てい鍼(接触鍼)
刺さない鍼で、皮膚や背中・腹部をなでるように刺激
気道をつかさどる「肺経」「脾経」「腎経」への調整
● ツボ例
肺兪(はいゆ):背中の肺機能調整
中府(ちゅうふ):肺の気を補う
足三里・三陰交:免疫と消化力の強化
太渓・腎兪:根本の体力補い
● 呼吸と姿勢の再教育
肩で呼吸しがちな子どもに「横隔膜呼吸」のトレーニング
猫背や胸郭の硬さの改善
● 親へのアドバイス
ストレスとの関係性、食生活・冷え対策など家庭全体の整え方を指導
10. 参考資料
日本小児アレルギー学会「小児喘息治療ガイドライン2023」
https://www.jspaci.jp/assets/documents/jpgl2023_web.pdfWHO東洋医学分類/小児疾患に対する鍼灸適応リスト
臨床鍼灸学:小児はり・小児気管支疾患の実際
当院症例記録・保護者の声より
まとめ
小児喘息は、「症状を抑えること」よりも、「体質を整え、強い呼吸と免疫を育てること」が本質的なケアです。
薬は必要に応じて使いながら、
東洋医学の視点で「子どもの体が自然に回復する力を引き出す」ことも選択肢の一つ。
お子さんの「未来の体」をつくるために、今できることを一緒に考えましょう。
当院では患者の利益を最優先に考えていますので、東洋医学に理解のある医師、病院からの連携、相談を歓迎しております。
※当院では、医学的な診断・治療・医療的アドバイスは一切行っておりません。鍼灸施術は医療行為ではなく、効果には個人差があります。
※持病をお持ちの方、治療中の方には、医療機関の受診・継続的な通院を強く推奨しています。
※当院の施術は、病気そのものへの治療ではなく、症状の緩和や体質改善、生活の質の向上を目的としています。
※症状や医療機関での治療状況によっては、医師の診断・同意書・連携が必要となる場合があります。

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