女性・婦人科疾患
月経前症候群 PMS(Premenstrual Syndrome)
2025/1/2
目次
PMSとは?
PMSの症状
PMSの原因
PMSの診断基準
PMSの治療法
PMSのセルフケア
PMSの予防
PMSに対する鍼灸治療の可能性
まとめと重要なポイント
最後に
1.月経前症候群とは?(以下、PMS)
PMSは、女性の月経前(黄体期)に現れる身体的・精神的な症状の総称です。症状は排卵後の黄体期に始まり、月経開始とともに軽減または消失します。症状の程度や種類は個人差が大きく、日常生活に支障をきたす場合もあります。

2.PMSの症状
PMSの症状は身体的症状と精神的症状に分けられます。
身体的症状
腹部の張り(膨満感)
乳房の張りや痛み(乳房緊満感)
頭痛
腰痛
体重増加
むくみ(特に手足や顔)
疲労感
関節や筋肉の痛み
精神的症状
イライラや怒りっぽさ
気分の落ち込み、うつ症状
不安感
集中力の低下
睡眠障害
感情の不安定さ(涙もろいなど)
PMSの重症型:PMDD
PMSの中でも症状が特に重く、日常生活に大きな支障をきたす場合を*PMDD(Premenstrual Dysphoric Disorder:月経前不快気分障害)*と呼びます。主に精神的症状が顕著で、うつ病や不安障害との鑑別が必要です。
3.PMSの原因
PMSの明確な原因は完全には解明されていませんが、以下の要因が関連していると考えられています。
ホルモンバランスの変化 排卵後の*エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)*の変動が、神経伝達物質に影響を与える。
セロトニン不足 気分や感情を調整する脳内のセロトニンレベルが低下。
ストレス 精神的・身体的ストレスが症状を悪化させる。
栄養不足 マグネシウムやビタミンB6などの不足が関与する。
生活習慣 睡眠不足や不規則な生活リズム。
4.PMSの診断基準
症状の周期性 排卵後に症状が現れ、月経開始とともに軽減または消失する。
症状の持続期間 少なくとも2~3か月の期間で周期的に発生していること。
日常生活への影響 仕事や家庭生活に支障をきたしている。
5.PMSの治療法
5-1. ライフスタイルの改善
バランスの取れた食事 ビタミンB6(バナナ、鶏肉)、マグネシウム(アーモンド、ほうれん草)、カルシウム(牛乳、小魚)を多く含む食品を摂取。
運動 有酸素運動(ウォーキング、ヨガなど)で血流を促進し、ストレスを軽減。
十分な睡眠 質の高い睡眠を確保。
5-2. 薬物療法
低用量ピル ホルモンバランスを調整し、症状を軽減。
抗うつ薬(SSRI) セロトニン不足を補い、精神的症状を改善。
鎮痛剤(NSAIDs) 頭痛や腹痛などの身体的症状を緩和。
漢方薬 当帰芍薬散、加味逍遙散など、個々の体質に応じた処方が可能。
5-3. 補完療法
アロマセラピー ラベンダーやローズの香りがリラックス効果をもたらす。
鍼灸 ホルモンバランスや血流の改善に役立つ可能性がある。
サプリメント ビタミンB6、マグネシウム、カルシウム、オメガ-3脂肪酸。
6.PMSに対するセルフケア
症状日記をつける 症状の種類や強さ、期間を記録し、医師との診察時に活用。
ストレス管理 瞑想やマインドフルネスで心を落ち着ける。
カフェインとアルコールを控える これらは症状を悪化させる可能性がある。
7.予防
食事と運動を中心に、生活習慣を見直すことで症状の予防が可能。
医師や専門家と相談しながら適切な治療を行う。
PMSは多くの女性が経験する症状ですが、適切な対処で症状を軽減し、生活の質を向上させることが可能です。
8.PMSに対する鍼灸治療の効果と可能性
鍼灸治療は、PMS(Premenstrual Syndrome: 月経前症候群)の症状軽減に役立つと考えられています。そのメカニズムや効果については研究が進められており、特に以下のような症状に有効である可能性が示されています。

8-1.鍼灸治療のメカニズム
ホルモンバランスの調整
鍼刺激は、自律神経系を介してホルモンの分泌を調節する作用があります。特に、月経周期に関与するエストロゲンやプロゲステロンの調和に寄与します。
血流改善
鍼灸は血液循環を促進し、骨盤内の臓器への血流を増加させ、腹部の膨満感やむくみを軽減します。
ストレス軽減とリラクゼーション効果
鍼刺激によりセロトニンやエンドルフィンの分泌が促され、ストレスやイライラを緩和することができます。
痛みの緩和
鍼は神経系に作用し、疼痛の伝達を抑制することで、頭痛や腹痛、筋肉痛などの身体的な不快感を軽減します。
8-2.鍼灸治療の効果に関する研究
症状軽減の報告
システマティックレビューでは、鍼灸がPMSの身体的および精神的症状(イライラ、疲労感、乳房の痛みなど)の軽減に有効である可能性が示されています。
比較研究
鍼灸と薬物療法を比較した研究では、鍼灸が同程度の症状軽減効果を示し、副作用が少ないことが報告されています。
ランダム化比較試験(RCT)
RCTの結果では、鍼灸治療を受けた群がプラセボ治療群や治療なしの群に比べ、PMSの症状スコアが有意に低下したとされています。
8-3.具体的な適応症状
精神的症状: イライラ、不安感、気分の落ち込み、集中力の低下など
身体的症状: 腹部膨満感、乳房の張り、腰痛、むくみ、頭痛、筋肉痛
自律神経症状: 疲労感、冷え、睡眠障害
8-4.鍼灸治療の利点
副作用が少ない
鍼灸は自然療法であり、薬物療法に伴う副作用がない。全身的なアプローチ
PMSの多岐にわたる症状(身体的・精神的)に包括的に対応可能。即効性と継続的な効果
初期治療で即効性を感じる場合があり、継続することで症状の安定化が期待される。
8-5.注意点と限界
個人差
鍼灸の効果には個人差があり、全ての患者に均一な効果があるわけではありません。治療頻度の必要性
効果を得るためには、数週間から数か月の継続的な治療が必要となる場合があります。根治的治療ではない
鍼灸は症状緩和を目的とし、ホルモンバランスの根本的な修正は難しい場合があります。
8-6.鍼灸の治療頻度
月経周期に合わせて週1~2回の治療が推奨されることが多い。
結論
鍼灸治療は、PMSの症状軽減に有効であり、副作用が少なく、薬物療法を補完する手段として適しています。特に、精神的症状や軽度から中程度の身体的症状に悩む患者にとって、安全かつ効果的な選択肢となる可能性があります。ただし、鍼灸の効果は個々の症状や体質に依存するため、信頼できる鍼灸師と相談しながら治療を進めることが重要です。
9. まとめと重要なポイント
PMSは精神的要素も関与するが、精神的要素だけが原因ではない。
運動、食事、生活習慣が大きく影響する。
鍼灸治療は西洋医学の補完療法として有用な可能性がある。副作用がほとんどない。
PMS症状が重い場合、PMDDとされるが、うつ病やパニック障害と混同されやすい。誤診に注意。
10. 最後に
日本人女性の94.5%は何らかの自覚症状があるというリサーチ結果があります。さらにそのうち、5%の方が重い症状を抱えています。
女性特有の症状だから、体質だから仕方ないと諦めないで下さい。
治療方法はいくらでもあります。簡単なホルモン療法だけでなく、生活習慣の改善を基本に様々な方法を組み合わせることが最も効果的です。毎月の生理期間が億劫にならないように早めのアプローチをお勧めします。
当院では患者の利益を最優先に考えていますので、東洋医学に理解のある医師、病院からの連携、相談を歓迎しております。
※当院では、医学的な診断・治療・医療的アドバイスは一切行っておりません。鍼灸施術は医療行為ではなく、効果には個人差があります。
※持病をお持ちの方、治療中の方には、医療機関の受診・継続的な通院を強く推奨しています。
※当院の施術は、病気そのものへの治療ではなく、症状の緩和や体質改善、生活の質の向上を目的としています。
※症状や医療機関での治療状況によっては、医師の診断・同意書・連携が必要となる場合があります。

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